例えば宇宙空間に巨大な電池パネルを設置したい場合,
部品をスペースシャトルで運んで人が船外活動で接合していくという方法は,
効率的でもないし大きな危険が伴う。
こういった場合,シャトルのペィロードベイに格納できる
くらいの大きさまでに比較的小さな力で畳むことができ,それを
宇宙空間に放出したときも,自らの力か,
あるいは小さな力で拡げることができれば便利である。
例えば写真-H.7は,
自動車の横の窓に吸盤で付けることができるシェードだが,
ねじりながら押すことで三分の一のサイズに畳むことができる。
写真は右上インセットから下インセットへと展開された状態。
そこで,座屈の飛び移り現象等を利用した構造がいろいろ考案されているが,
かなり実用化されているものに,「ミウラ折り
H.3」という
紙の折り方がある。
これは著作権登録されているが既にインターネット上に多数紹介されているので,
以前,宇宙科学研究所名誉教授の名取通弘先生から
いただいた資料(p. の図-H.9)を,ここに示しておこう。
この折り方を考案なさったのは,
宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構)の三浦公亮名誉教授である。
写真-H.8が,その折り方をしたA4用紙の例である。 矢印方向に押すことによって,「左下インセット→右上→右下」のように 畳むことができる。逆にこの対角箇所を引張れば,展開される。 さらなる長所は,この折り目が破け難いということである。 例えば地図を普通に直交する方向で折ると,何度も開閉しているうちに そこが破けてしまうが,この「ミウラ折り」にした地図は,なかなかそこが 破けないという特性も持つのである。図-H.9の 上の横線とジグザグの破線に沿って折れば,一応はできあがる。 山谷の区別は完成された写真を参考にしながらつけて欲しい。